Shinsuke Yonezawa

6thコラム:愛の国のナチュールに、私たち異邦人の感性

~ Sensitivity of Our Gentiles for Vin Naturel of Country of Love ~

2017年5月31日 更新
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パリのホテルで
野郎3人が落ち合うのも悪くない。

今夜はパリの郷愁を強く感じる。



パリ行き間近の本町の人気パティシエールや

3年ぶりに再会したパリジェンヌ、

パリ愛の強いレストラン・エンスーに影響されただけではなく、

その伏線だったのか?


映画「ゲンスブールと女たち」
(名曲がよみがえる、震える!)や、

スカーレット・ヨハンソンの「ロスト・イン・トランスレーション」(これは東京が舞台だが、エキゾチックさと外国人としての孤独、が良い。)を観たからか?




いや、パリでなくともよい。

外国人になりたいのだ。




カサブランカや、マラケシュ辺りはどうだ。

コーランを聞きながら、でもフランス語圏がいい(笑)



そして身体に染み入る
シャンパーニュを飲む。
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飲み干したら、散開。



それぞれ ヒミツのランデヴーといこうじゃないか。。



3年ぶりに話したパリジェンヌと
パリ郊外のオーベルヴィリエで観た、
あの寒い寒い日の騎馬劇ジンガロ。
あのマボロシのような演目と馬場の土の香り。


外の暖をとる薪の音。


あの幻想を久しぶりに想いだした。




あぁ、やっぱりパリか?





深夜に古いセルジュ・ゲンスブールの完璧な歌を音量を上げて。
ゲンスブールはこの頃、'60年代がいい。


70年代に近づくとロックに変化していくのだが、初期はマジメにシャンソンあるいはジャズを演っている。

20世紀最高のカップルになるジェーン・バーキンに出逢うまえだ。




最高にクール。





まったくスキがない。








×××

というような話を書いていると、大阪のワールドフェイマスお好み焼き、パセミヤのよっちゃんが、「有名なパリの写真を撮ったのはパリの人ではないという逆説を思い出した。エトランジェ・・・。」
と返してきた。



そうなのだ。



ヴァン・ナチュールを早い時期から「正当に評価」してきたのは、エトランジェである我々日本人。

地球上の誰よりも繊細な味覚を持つ私たち。

歴史と発展を遂げた生産国の中から湧き起こるのではなく、「外」の私たちが。

そしてそれは彼の国に還元されてゆく。


今や世界的に空前の和食ブーム。

世界がようやく味覚の世界でも日本を認めているのだ。

もっと胸を張り、

大事なことに気づかなきゃ。


ほんとうに置いてけぼりになる。


農業や添加物や原発や、、。






島国ニッポンを離れ外へ。
そして外国人として「内なるもの」を感じる。


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古いゲンズブールに合わすのは、ダニエル・サージュ。新しいワインの世界を南仏アルデッシュで切り開く。

初期から既にフランスギャルに提供した歌詞があまりにもエロ過ぎたりしていたセルジュにはこのくらいのワインでないといけない。(理由はちょっとここでは書けないのだが。)

フランス・イズ・ナンバーワンではなくヌメロ・ゼロ。

大地なのだ。

彼のカーヴには膨大な古いレコードのストックとそれに匹敵するナチュラルワインのコレクションがあるらしい。

セルジュの音源はあるだろうか?








ラニャップ(おまけ)
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https://youtu.be/oiRVsZzccz0

(これはまたパーカッションの響かせ方が最高にクールな別バージョン)
セルジュが亡くなった年に追悼リミックスでリリースされた7inchシングル・レコード。

あまりにもあからさまな曲名のものを追悼にするのがフランスイチスケベだった彼に対する最高のオマージュ。

大阪のイタリアンの未来を本気で牽引しようとしているシェフの元、長年大いなる片腕を務めている女の子から貰ったもの。

彼女はもちろんイタリアンにドップリなのだが、実はフランス大好き!でありシェフ共々ドイツ、クラウトロック好きだ。こういう姿勢が未来を救うのかもしれない。

ふと、セルジュが空になった翌年に初めてフランスに渡ったぼくは、パリのモンパルナス墓地にお詣りしたことを想いだした。

ボードレールやサルトル、デュラスなどの著名人の立派な墓石の中で彼のそれは土と同じ、高さゼロの目立たない墓碑だった。

しかし、周りには夥しい数の供物で満たされていた。




愛の国、フランス。



ナンバーワン! ×××
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2017年4月26日
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Shinsuke Yonezawa Shinsuke Yonezawa

尼崎、塚口にある尼崎最古のワインバー・ナジャのオーナー/シェフ/ソムリエ/DJ。