Takuro Koga

22ndコラム: 君のお店に明確なスタイルはあるか

〜 Do you have any clear style in your shop? 〜

2018年8月3日 更新
 (11316)

小学校と高校でサッカーをやっていて、
今も社会人リーグでボールを蹴っている僕は、
何かと物事をサッカーになぞらえて考えるクセがある。

先月、ロシア ワールドカップが終わった。

日頃からヨーロッパリーグなどを熱心に観ていない人にとっては、 フランスの優勝は別として、 まさかの2位クロアチア、まさかの3位ベルギー、だったのではないか。

メッシのアルゼンチンも、
クリロナのポルトガルも、
ネイマールのブラジルも、

誰もが知ってるような選手がいても、チームで勝ち上がるのは難しかったりする。

チームスポーツはタレントばかり集めても、噛み合わなかったりするから面白い。
でも、それってワインも同じじゃないだろうか?

誰もがうらやむレアワインばかり集めても、
良いお店になるかどうかはわからないし、
その夜のお客様が満足するかどうかはわからない。

例えば、お店のグラスワインが11種開いてるとして、(一般的には、泡1、白5、赤5とかかな?)
あなたなら、どういうラインナップを組む?
フォーメーションは(泡1、白4、オレンジ1、ロゼ1、赤4)でもいい。
まずはそこの組み合わせを考えるのも面白い。

自店で熟成させたワインと、比較的若い新着ワインを織り交ぜたり、レアなワイン、高額なワイン、低価格帯のワインを織り交ぜたり、 マメりやすいワインは、予約で満席の夜だけグラスで開け、 一晩で空になるように調整したり。。

大切なのは監督の、
「どういうサッカーがしたいのか」という意図・采配がはっきりとしている事だ。

よく飲食店のSNSで、
「今日のグラスワインこんな感じです」 みたいな投稿があるが、新着のタレント揃いだけど、
これでうまく機能するのかなぁ、と思う事もしばしば。

レアルマドリードやバルセロナのようなチームを率いることができるお店は、 ほんの一握りなのだ。

一見地味だが、自分のお店の料理にはバッチリ合ってるようなワインを見つけたり、 寝かせることで本領を発揮するワインを見極めて育成(熟成)させたりすることで、
 良いチームを作り上げていくような仕事が、根本なのではないだろうか。

買えない(割り当てがない)ワインがあってもいいじゃないか。

気にしない事だ。
僕もワインバー時代は大好きなワインの割り当てがドンドン減っていって悶々としたし、 酒屋になった今も、割り当てがゼロだったり、案内すら来ないキュヴェも沢山ある。

でも、メッシやクリロナがいなくても、観客を熱狂の渦に巻き込むような、良いサッカーはできるのだ。

「どのワインを開けるのか」よりも「どんな風に楽しませるのか」が重要。

さあ、今日からまた気分を新たにチーム作りをスタートしようじゃないか。



2018年8月3日
2 件

このワインをおすすめしている人

Takuro Koga Takuro Koga

‘09年5月、東京・幡ヶ谷でヴァンナチュールと日本ワインを軸にしたワインバーKinasseをOPEN。 ‘16年3月、地元熊本へ戻り、現在はワインショップQuruto店主。ブドウ栽培・醸造、共に見習い。