Shinsuke Yonezawa

7thコラム:アンタ、ガメイ好きか?

〜 Guys, Do You Like Gamay? 〜

2017年5月15日 更新
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今やナチュラルワインファンの符合のように使われて久しい愛言葉。

ここで首をタテに振ればニヤリとお互いの歩んできた行方の理解、一足飛びに。

いきなりサンパな関係が生まれる魔法の言葉。

こんな、一瞬にして分かり合えるワードを持つ私たちってなんて素晴らしいのでしょう。

このコラムをご覧いただいている皆さんの大方はガメイという品種が大好きだと思われるのですが、世間の、ワインに「少しハマった」方々からは毛嫌いされているようです。

フランス、ブルゴーニュ地方のボージョレ地区がこの品種の主要産地であり、かの解禁日のあるヌーヴォーで飛躍的に親しまれるようになった品種ですね。

ですが一般的にはボージョレはヌーヴォーでご存じでも造られているブドウが「ガメイ種」であるということはあまり知られていないようです。

それと同様にボージョレのワインには、ボージョレとどこを見てもラベルに書いてない10種類のクリュボージョレという、格上の深みのあるボージョレを産出する小地区や村があるのですが(ムーラナヴァンやモルゴン、フルーリィなど)、これまた日本では一般の方々にはほとんど知られてない。
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なのでどうしてもヌーヴォーのできたてのイガイガした感じや薄っぺらいイメージが拭えず、キャンディポップだ、バナナ喰ってる方がマシだ、と言われて肩身がせまいのです。

美味しいクリュボージョレがあるのにねぇ。

しかもそんなワンランク上のボージョレはイメージのように早飲みするワインではないのです。

それに日本では所謂「ブルオタ」と呼ばれるブルゴーニュマニアの方々は隣の「黄金の丘」のピノしか飲まない。

ガメイです、と、カウンター越しにお出ししようものなら、あからさまに嫌な顔をされてしまいます。蔑んだものを見る目で。(ボージョレの丘も収穫が終わると黄金色に輝きますよ 笑)

ガメイか〜⤵︎、と残念そうに言う何人もの口を見てきました。(ダメですねー、ネガティヴな印象を持ってる方に飲む前にボトルを出したり説明をするのは。)

そうすると何がなんでもガメイで納得させてやろう!と俄然やる気が出る性格だったのですね、昔は。

どうです?美味しいでしょ、これ。
と、少し合間を開けてからガメイの告白をするようになったのです。

そうすると、え⁈ これ、ガメイ?⤴︎
というような反応に変わっていったのです。
美味しいガメイを厳選チョイスして
ガメイ啓蒙活動成功♡

実際、世界的に見てもボージョレの人気は今ひとつなのか、一部の素晴らしい生産者を外におけばボージョレ全体では栽培葡萄の買取価格がフランスno.1クラスで低くて深刻な死活問題になっているのです。
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そんなこんな中で、マルセル ラピエールはすでにモルゴンで素晴らしいワインを造ってたのですが、ぼくのガメイの衝撃はボージョレの外からやってきたのでした。

現代的ワイン産地としては思いもよらぬ、忘れ去られていたオーヴェルニュ地方の生産者、ペイラのガメイです。
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ミレニアムを迎え、時代は21世紀に入っていました。その液体の色は淡〜く儚げだったのですが、梅昆布茶のような出汁の旨み、見た目よりもエキスの豊潤さ、今まで感じたことのない京都を世界の頂点とする関西テロワール出汁文化ジャポンな世界が拡がっていたのです。

そんなペイラの衝撃体験から同時多発的にロワール、アルデッシュ、もちろんボージョレでなんだ、この旨さは!なガメイの勃興が始まったのです。
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驚きました。少々退屈なワインが多いガメイがこんなに美味しいなんて!

その理由はナチュラルな栽培をするだけではなくてナチュラルな醸造にあったのです。

おそらくガメイはしっかりとした生命力を栽培で宿し、自然な抽出の醸造でキラリと光り、酸化防止剤を極わずかか、まったく入れないことで畑のままの爆発的な果実味を保ち得ることができたのです。
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自然な醸造が、世間で虐げられたガメイというブドウのポテンシャルを余すことなく最大限に引き上げることに成功し、その劇的に分かりやすい変化を私たちは享受したのです。

すでに現代的な造り方で名声を得ていた有名品種でなかったところが、ギャップ激しく最高へと振り切れたのです。

ナチュラルメイクワインが偶然興した、まさかの品種の下克上的な社会的地位の向上です。
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この価値のドラスティックな転換を目の当たりに体験するのはとても刺激的でした。

ワインバーのカウンターで、ガメイください!
とガメイ指定でのオーダーが増えてきたのです。

ガメイラヴァー(日本ではガメラーと言われている。※野村ユニソンの藤木さんがガメラージャポンというイベントやサイトを運営し始めたり、「となりの人間国宝」(関西ローカルですみません)的ステッカーを作ったり、そちらから飛び火したダイガク時代の他谷くんのイベントなど数々)の登場です。

ガメイという葡萄は普段退屈没個性だが、ナチュラルワインとして生産された時に今までにないたまらない個性的な魅力を発揮する、
「自然児のあなたの時だけよ、私が開くのは」感がたまらないではありませんか!
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このワインをおすすめしている人

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尼崎、塚口にある尼崎最古のワインバー・ナジャのオーナー/シェフ/ソムリエ/DJ。