Shinsuke Yonezawa

7thコラム:アンタ、ガメイ好きか?

〜 Guys, Do You Like Gamay? 〜

2017年6月6日 更新
シャルドネのようなニュートラル(個性のなさ)故に反対に器用にテロワールの違いをストレートに表現できるという、
「男によっていかようにも変わりますぅ、貴方が高貴な男なら私も高貴に染まっていくわ♡」 みたいな感じよりはるかに一途で素朴で良いではないでしょうか。

ということで、そんなガメイにボブディランの'63年の2ndの名アルバムを。
 (3982)

アルバムタイトルどおり、まさにザ フリーホイーリンな連中がナチュラルなワインの時代の流れをつくってきたのです。

昨年はボブのノーベル賞受賞が世界を賑わせたのですが、受賞式に欠席したボブの代わりに偶然に前から受賞式への出演を依頼されていた、NYパンクの女王と呼ばれたパティスミスが急遽ボブの曲を歌うことにした。その曲がこのアルバムA面ラストの「はげしい雨が降る」A Hard Rain’s A-Gonna Fall。

パティに大きな影響を与え、若い時からずっとリスペクトし続けてきたボブの曲をこのような席で歌うということがいかに感慨深いものだったのかは、私たちも大きな感動の涙を誘う映像で↓
https://youtu.be/DVXQaOhpfJU

そんなアルバムをかけてるところにたまたまラジオから義太夫が流れてくる。

若かりし頃のボブの声とハーモニカに義太夫のダミた声の節回しと三味線が、いや〜 なんともいえない溶け方をする。

J.ケージのチャンスオペレーションではないですが偶然が新しい世界を創ります。

こんな世界にはボージョレのムーラナヴァンのリリアン ボーシェのポワン ドルグのガメイに響演してもらいましょう。リリアン自身もアコーディオンを演奏するような人です。

異世界の交錯を相乗してくれます、このワイン。
 (3984)

そして陶然となる。



偶然は必然。


当然!


BRAVO ! GAMAY ‼︎




※ミネラルウォーターのヴォルヴィックで有名なフランス真ん中下辺りのオーヴェルニュ地方は、19世紀後半にヨーロッパの葡萄を壊滅させたフィロキセラ禍まではガメイの一大産地でありボルドーに次ぐフランス第二の生産量を誇っていたのだから、今の何十倍かの大生産地だったのです。
ひょっとしたら農薬も化学肥料もないその時代だからこそ、酸化防止剤の入れ方次第だけれどもフレッシュなうちに飲むなら今のようなスイスイ飲めるヴァン ド ソワフ(喉の渇きを癒すワイン)なしみじみワインができていたかも知れませんね。しかもそれが庶民にウケていたかも。
150年前を妄想。。

ほな、またお逢いしましょう☆
 (3986)

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2017年5月14日
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Shinsuke Yonezawa Shinsuke Yonezawa

尼崎、塚口にある尼崎最古のワインバー・ナジャのオーナー/シェフ/ソムリエ/DJ。