Takuro Koga

28th コラム:みんなの満月 - 後編

Full Moon for Wine Lovers - Part 2

2021年6月14日 更新
6月18日に新しい商品をリリースする。

ワインではなく、ピケットだ。

ワインを醸造したあとの搾りかすには、まだ生きた酵母がいる。

のだとすれば、理屈的に言えば、
そこに水分と糖分があれば、酵母はそれらを使って、
再度アルコール発酵をはじめる。

こうして二番煎じ的に醸造したものをフランスではピケットと呼び、
結構な数のワイナリーが仕込んでいるらしい。

だいたいは仕込みの際に加える糖分の量を調整して、
アルコール度数が5%前後と低くなるように設定されている。

用途としては、
生産者自身が日常的に飲む、まかない用だったり、
季節労働者が畑の手伝いに来た際に、
日当とは別に支給する水分補給用だったりと様々らしいが、

その存在を数年前に知って、激しく惹かれるものがあった。

熊本の夏はとにかく暑い。。
常温に近い温度帯で飲むのが美味しい、
ちょっと良い赤ワインなんかはほとんど売れず、
スパークリングや白ワイン、それもガブガブ飲めるようなものが需要が高くなる。

なので、
キンキンに冷やして美味しく、かつ低アルコールで、
それも安価で供給できるピケットがあれば、喜んでもらえるのではないか、
と思ったのと、

僕が扱わせていただいているキュヴェ玉名用の、宝石のような葡萄を、
副産物である搾りかすまで無駄にせず再利用できるのなら、
こんなに嬉しいことはない、と思った2点から、

熊本ワインさんに掛け合って、
実際にピケットも数種類飲んでもらい、試験醸造に漕ぎ着けたのが一昨年。
その年は造り方も手探りで、結局失敗に終わったんだが、
去年、キュヴェ玉名の搾りかすをベースに、ピケットの醸造に成功した。

おそらく日本初だと思う。

と、ここまでかなり前置きが長くなったが、
このピケットを返礼品として、現在自前のクラウドファンディングに挑戦している。

前編で書いた「みんなの満月」を継続していくための運営費を集めるためだ。

「みんなの満月」は収益化していない。
視聴もフリーだし、モノを売るのが目的でもない。

ただこの長びくコロナ禍において、満月が近づくと、
全国の酒屋さんやワイナリーで、 100本とか200本のワインが売れれば、同業者として嬉しい。それだけだ。

だが、毎月継続していくには最低限、若干の経費がかかる。
基本的には手弁当でやるつもりなので、
1回あたり1万円くらいあれば充分と予想すると、年間で12万円が必要となる。

この費用を、趣旨に賛同して支援してくださる方に出してもらい、
返礼品でお送りするピケットを、次回の満月の夜にみんなで飲みながら、
インスタライブを楽しみませんか、というのが今回の狙いだ。

既に達成率はこのコラム掲載時点で76%。

達成云々は別として、賛同してくれる方が意外にも多くて嬉しい。

次回の満月(6月25日)が楽しみだ。

※詳しくは僕のInstagramのアカウント( @kogataku)をご参照いただき、 興味がある方はDMをくれると嬉しいです。


Takuro Koga
2021年6月14日
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Takuro Koga Takuro Koga

‘09年5月、東京・幡ヶ谷でヴァンナチュールと日本ワインを軸にしたワインバーKinasseをOPEN。 ‘16年3月、地元熊本へ戻り、現在はワインショップQuruto店主。ブドウ栽培・醸造、共に見習い。