Takuro Koga

19thコラム: キュヴェ植木のこと

〜 Cuvee Ueki 〜

2018年3月31日 更新
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3月20日にキュヴェ植木2017というQurutoオリジナルワインをリリースした。

熊本市の北部にある、植木町で収穫されたキャンベル種のぶどうを使用。

こちらも基本的な造りはキュヴェ玉名と同じで、 除梗・破砕後に亜硫酸を30ppm添加した以外は、何も加えていない。

瓶詰め当初はものすごく酸っぱかったので「大丈夫かなぁ」と思ったのだが、 落ち着いたら味がノッてきて、酸味だけが目立つことはなくなるだろう、 と推測して、ぶどうを信じて待った。

9月、11月、2月と、実に3回のテイスティングを経て、 徐々に推測したような味わいにシフトしていってるのが実感できたので、 お花見のタイミングで気軽に飲んでもらおうと思い、 3月20日より、店頭で小売販売している。 (瓶詰め本数は465本。この原稿を書いている3/30時点で既に在庫僅少)

いまだにキュンとした酸味はあるので、 冷やして、休日の昼に外で飲むのがオススメだ。

リリースに合わせ、植木町の「洋食や花小町」さんにお声掛けいただき、 キュヴェ植木を、植木産食材と一緒に楽しむ会に参加させていただいた。

植木町の野菜の農家さんや、畜産農家さん、果樹園の園主さん、 旅館業の方、飲食業の方、一般のワイン愛好家の方など、 実に多様な顔ぶれで盛り上がったのだが、 皆が、おらが町の名前がついたワインができた事を喜んでくれ、 「美味しい!」「美味しい!」と言って下さったことが本当に嬉しかった。

キャンベル種でワインを仕込むのははじめてで、 2017年は小ロットでの試験醸造だったんだけど、 今年の秋も期待に応えるために醸造しようと心に誓った。 (もちろん、農家さんと熊本ワインさんが賛同してくれたらの話だが)

店頭に買いに来てくださるお客様も、
「私、植木出身なんです!」とか、
「植木出身で、東京に住んでる友人に送りたくて。」など、
植木に由縁のある方が非常に多い。

嬉しい。とても嬉しい。

これまで「植木産のワイン」は世の中になかったわけで、
ゼロをイチにできたことで、誰かに喜んでもらえるなら、 こんなにやりがいのある仕事はない。

言わずもがな、ワインを造るものにとって、ぶどうは宝だ。

それも、できれば県産が望ましい。(と僕は思う)

そして、僕がやりたい自然な醸造には、有機で栽培されたぶどうが望ましい。。

玉名と植木。
農家さんごとに分けて小仕込みをし、 付加価値をつけてワインに仕上げていくプロジェクトは2地域になった。

この取り組みが広く知られ、
「有機でぶどうを栽培してみようかな」「有機に転換してみようかな」 と思う人が、熊本県内で増えてくれることを願う。

キュヴェ玉名とかキュヴェ植木とか、 他にも例えばキュヴェ菊池とか、キュヴェ宇城とかがズラッとあって、 全部有機のぶどうで、全部自然な醸造をされたワインだったら、どんなに素敵だろう。

強く願えば、だいたいのことはきっと叶う。 5年後、10年後のために、種をまき続けたい。
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このワインをおすすめしている人

Takuro Koga Takuro Koga

‘09年5月、東京・幡ヶ谷でヴァンナチュールと日本ワインを軸にしたワインバーKinasseをOPEN。 ‘16年3月、地元熊本へ戻り、現在はワインショップQuruto店主。ブドウ栽培・醸造、共に見習い。

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