Takuro Koga

3rdコラム:自分の経験と結びついていない言葉は退屈だ

It is bored if your WORD is not tied to your EXPERIENCE

2017年5月31日 更新
グッドウィルハンティングという映画を覚えているだろうか?
確か僕が高校に通っていた頃に公開されたので、もう20年も前だろうか。
主演と脚本はマット・デイモンとロビン・ウィリアムズ。監督はガス・ヴァン・サント。

別に映画の話がしたいわけではない。
ただ、この映画は示唆に富むセリフが多く、折に触れて思い出す映画の一つだ。
もしも時間があれば、ワインでも飲みながら一度ご覧いただきたい。

とある事情を抱えた天才青年が、
心理学者の先生のカウンセリングを受けるシーンがある。

その時に先生が青年にこう言う。

「君から学ぶことは何もない。君が言うことは全部本に書いてあるんだ。」

と。

「美術について問えば、君は本から得た知識を並べ立てるだろう。
ミケランジェロも知り尽くしている。
数々の偉業、時の支配者や法王との軋轢、性的嗜好から作品まで。
だが、君にシスティナ礼拝堂の匂いは語れない。
そこに立ってあの美しい天井を見上げたことは無い。」

こんなセリフが5分ほど続く。

考えてみて欲しい。

これはワインの仕事に従事する、
意外と多くの方に当てはまるのではないだろうか。

インポーター資料や、
権威ある人のテイスティングコメントを引用しただけの通販サイト。
相手に伝わらない横文字ばかりを並べてサービスをするソムリエ。
いや、あるいはプロじゃなく、ステレオタイプなワインの飲み手にも多い気がする。

いずれにしても、自分の体験と結びついていない言葉は、退屈だ。

winyのような資料的サイトを始めた僕が、こう言う事を書くと自己矛盾がありそうだが、知識の羅列だけのつまらないサイトにはしたくないし、頭でっかちの人を増やすためのサイトにもしたくないので、早い段階で、自戒も込めて書き記しておきたいと思った。

そう、winyが創り出したいのは、
「飲み手のワクワクやドキドキ」に他ならないのだ。
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2017年3月8日
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Takuro Koga Takuro Koga

‘09年5月、東京・幡ヶ谷でヴァンナチュールと日本ワインを軸にしたワインバーKinasseをOPEN。 ‘16年3月、地元熊本へ戻り、現在はワインショップQuruto店主。ブドウ栽培・醸造、共に見習い。