木曜ナジャ、18ジ過ぎ開門致します。
ドメーヌ ド カンタローズ'18。もうこれは素晴らしいストーリーテラーである輸入者の話をそのままどうぞ。仏南西地方の重さを感じさせない全房発酵の柔らかさ。↓
『個人的に、ということだけれど、フランス南西部には幾らか思い入れがある。始めて訪れたヨーロッパがボルドーで、その後数年間暮らしたこの地域の風景や、食べ物や、人々。そしてワインはぼくにとって特別なものになった。パリの人からすると南西人は保守的で、奇怪な内臓料理を好み、男も女も浴びるほどの大酒のみ(これは事実) と散々な印象のようだけれど、ぼくにとっては南西人こそフランス人で、むしろ他の地域を旅行していると、なんだかそのよそよそしい雰囲気に、まるで別の国を訪れたような心許ない気持ちになることがある。フランスは広い。国土だけではなく、その文化圏の多様さ、まさにヨーロッパ、という感じで、もし叶うのであればフランスの違う地域で、それなりの感性を持っていたはずの20代に戻って(ぼくも昔は20代だった)もう一度生活をしてみたいものだと思う。もちろんそれは永遠に叶わない。だからぼくにとってはこの先もずっと、南西フランスが特別であり続けるのだろう。なんだか学生時代に片思いしていた女の子をいつまでも引きずっているような気持ちだ。アルビの街のビストロでドメーヌ・ド・カンタローズのワインを初めて飲んだとき、その瑞々しい味わいから南西のワインだとは思わなかった。シラーから造られたワインで、ラベルには“VindeCausse”という表記があった。33~の郵便番号からこの近郊であることまでは判ったけれど、その先が見当もつかない。店主に尋ねると、なんと近所の夫婦が造っているというではないか。仲が良いようで、すぐ翌日のアポイントをとってくれた。田舎は話が早い。温めたロカマドゥルチーズ入りサラダと、鴨の腿肉のオイル漬けを食べた。デザートの代わりにもう一度ちいさな、まるいチーズにはちみつを掛けてもらい、くるみと一緒に名物のほんのりと甘い田舎風発泡ワインを飲んだ。シンプルで素朴な、よく知っている味だった。夜のアルビは中世から続く古い、赤茶色の建築が黄色く照らされた、美しい街だった。なにもかもが南西フランスで、心地がよかった。
ピエール・オリヴィエとポリーヌの若い夫婦は突然のよくわからない来客に驚いている様子だったけれど、丁寧に時間をかけてワインの説明をしてくれた。といっても、造りに関してはとくに難しい話はなく、それよりもテラス・ド・コスと呼ばれる広大な石灰岩盤層に横たわるぶどう畑の話と、自分たちの考えるビオロジックの話が殆どだった。オーガニックであることも大事だけれど、どちらかというとパーマカルチャーというか、10年後、20年後の葡萄畑をイメージしているような印象を受けた。Vin de Causseは自前の呼称で、これINAO的にどうなの、ときくと、ポリーヌはいじわるそうに笑いながらラベルの隅っこを指差した。小さく小さく、Vin de Franceの表記があった。夫婦の目下の関心事はこの地域の古代品種(デュラス、ブロコル)を少しずつ増やすことで、今は比較的収量のとれるシラーなどもやっているけれど、ゆくゆくはそれらの古代品種のみでワイン造りをしたい。生産量は恐ろしく少ない。そもそも地元の顧客への販売のみで、海外はもちろん、パリにすら一度しかワインを送ったことがない。訪問中もひっきりなしに地元のおじさんたちがワインを求めてやってきた。そういえば最初、ポリーヌから
“うちは輸出やるつもりないの”
と取引を断られたのだった。まあ、そうだろうな、という気はしていたので、とくに驚きはしなかった。残念だけれど、彼らの静かな暮らしを邪魔するわけにもいかない。しかし帰国後いくつかメールをやり取りするうち、どういう訳か、やっぱり送ってもいいかも。ということになって、現在に至る。海外輸出は現状日本のみ。フランス女性はよくわからない。』
#domainecantalauze
#winebarnadja
#vindecausse
#パーマカルチャー
#3密皆無
ドメーヌ ド カンタローズ'18。もうこれは素晴らしいストーリーテラーである輸入者の話をそのままどうぞ。仏南西地方の重さを感じさせない全房発酵の柔らかさ。↓
『個人的に、ということだけれど、フランス南西部には幾らか思い入れがある。始めて訪れたヨーロッパがボルドーで、その後数年間暮らしたこの地域の風景や、食べ物や、人々。そしてワインはぼくにとって特別なものになった。パリの人からすると南西人は保守的で、奇怪な内臓料理を好み、男も女も浴びるほどの大酒のみ(これは事実) と散々な印象のようだけれど、ぼくにとっては南西人こそフランス人で、むしろ他の地域を旅行していると、なんだかそのよそよそしい雰囲気に、まるで別の国を訪れたような心許ない気持ちになることがある。フランスは広い。国土だけではなく、その文化圏の多様さ、まさにヨーロッパ、という感じで、もし叶うのであればフランスの違う地域で、それなりの感性を持っていたはずの20代に戻って(ぼくも昔は20代だった)もう一度生活をしてみたいものだと思う。もちろんそれは永遠に叶わない。だからぼくにとってはこの先もずっと、南西フランスが特別であり続けるのだろう。なんだか学生時代に片思いしていた女の子をいつまでも引きずっているような気持ちだ。アルビの街のビストロでドメーヌ・ド・カンタローズのワインを初めて飲んだとき、その瑞々しい味わいから南西のワインだとは思わなかった。シラーから造られたワインで、ラベルには“VindeCausse”という表記があった。33~の郵便番号からこの近郊であることまでは判ったけれど、その先が見当もつかない。店主に尋ねると、なんと近所の夫婦が造っているというではないか。仲が良いようで、すぐ翌日のアポイントをとってくれた。田舎は話が早い。温めたロカマドゥルチーズ入りサラダと、鴨の腿肉のオイル漬けを食べた。デザートの代わりにもう一度ちいさな、まるいチーズにはちみつを掛けてもらい、くるみと一緒に名物のほんのりと甘い田舎風発泡ワインを飲んだ。シンプルで素朴な、よく知っている味だった。夜のアルビは中世から続く古い、赤茶色の建築が黄色く照らされた、美しい街だった。なにもかもが南西フランスで、心地がよかった。
ピエール・オリヴィエとポリーヌの若い夫婦は突然のよくわからない来客に驚いている様子だったけれど、丁寧に時間をかけてワインの説明をしてくれた。といっても、造りに関してはとくに難しい話はなく、それよりもテラス・ド・コスと呼ばれる広大な石灰岩盤層に横たわるぶどう畑の話と、自分たちの考えるビオロジックの話が殆どだった。オーガニックであることも大事だけれど、どちらかというとパーマカルチャーというか、10年後、20年後の葡萄畑をイメージしているような印象を受けた。Vin de Causseは自前の呼称で、これINAO的にどうなの、ときくと、ポリーヌはいじわるそうに笑いながらラベルの隅っこを指差した。小さく小さく、Vin de Franceの表記があった。夫婦の目下の関心事はこの地域の古代品種(デュラス、ブロコル)を少しずつ増やすことで、今は比較的収量のとれるシラーなどもやっているけれど、ゆくゆくはそれらの古代品種のみでワイン造りをしたい。生産量は恐ろしく少ない。そもそも地元の顧客への販売のみで、海外はもちろん、パリにすら一度しかワインを送ったことがない。訪問中もひっきりなしに地元のおじさんたちがワインを求めてやってきた。そういえば最初、ポリーヌから
“うちは輸出やるつもりないの”
と取引を断られたのだった。まあ、そうだろうな、という気はしていたので、とくに驚きはしなかった。残念だけれど、彼らの静かな暮らしを邪魔するわけにもいかない。しかし帰国後いくつかメールをやり取りするうち、どういう訳か、やっぱり送ってもいいかも。ということになって、現在に至る。海外輸出は現状日本のみ。フランス女性はよくわからない。』
#domainecantalauze
#winebarnadja
#vindecausse
#パーマカルチャー
#3密皆無
ワイン名:カンタローズ・ルージュ 2018
タイプ:赤
生産者:ドメーヌ・ド・カンタローズ
生産者HP:N/A
生産地:フランス、ガイヤック
品種:シラー
タイプ:赤
生産者:ドメーヌ・ド・カンタローズ
生産者HP:N/A
生産地:フランス、ガイヤック
品種:シラー
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