Takuro Koga

18thコラム: 豪州にて②

〜 In Australia - Episode 2〜

2018年2月7日 更新
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南国、九州の熊本にも大寒波が押し寄せ、
キーボードを叩く手がかじかみ、仕方なく原稿が遅れてしまった。

冗談はさておき、オーストラリアの旅の話の続きをしよう。

1週間の行程で、本当に沢山のワインをテイスティングした。

特筆すべきだったのは、
アデレードヒルズの若い世代の台頭と言うか、大きなうねりのようなものだ。

どのワイナリーへ行っても、
ワインメーカーのアシスタントだか何だか、誰だよお前的な若者がウロウロしていて、
「俺のも良かったら飲んでくれ」と、
見たこともないエチケットのワインを持って近寄って来るのだ。

例えば、2泊も世話になってしまったジェントルフォークのところに、
ショルトという若者がいた。

どうせ英語も通じないだろうと思ったのか、それとも単に恥ずかしかったか、
無言で自分のワインをススメてくる。

ススメられるがままに飲んでみると、
これがなかなかに、と言うか、めちゃくちゃウマい。

ショルト君、ユーは一体、いくつなんだい?

と僕が聞くと、彼は答えた。

21歳だよ、と!

エーーーーーーーーーー!

21歳の若者が、こんな素晴らしいワインを。。。

こうしてワイナリーでアシスタントとして働き、
給料とは別に、現物支給でぶどうを少し分けてもらい、醸造もやってみる。
そんな風にして、未来のワインメーカーが育っていくのだ。

ヤウマのジェームスも、ジェントルフォークのギャレスも、
かつてはルーシーマルゴーでアントンのアシスタントをしていた。

彼らが独立してそれぞれのワインを造るようになった今、
同じように彼らにもアシスタントがいる。

きっとアントンが先駆者だったんだろう。
今では、ワインを造りたい若者達が、
どんどんとアデレードヒルズを目指してやってきているそうだ。

こりゃあもう、本当に雨後の筍のように、
ドンドン新しいナチュラルワインの生産者が今後も出てくるかも知れないなぁ。

そして旅の最終日にシドニーで参加したルートストックという大試飲会には、
そんな造り手達が、ベテランから(日本では)無名の若手まで、沢山ブースを出していた。

大興奮で色々と飲んだ。
本当にこの人達のワインは、数年前まで輸出が禁じられていたのか。。。
どれも、にわかに信じられないウマさだ。。。

自分のお店で扱う生産者を、少し絞ろうと思って行ったのだが、
逆にじっくりと紹介したい生産者が増えてしまった。

そういうわけで、
今後もオーストラリアのナチュラルワインシーンから目が離せない。




2018年2月7日
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Takuro Koga Takuro Koga

‘09年5月、東京・幡ヶ谷でヴァンナチュールと日本ワインを軸にしたワインバーKinasseをOPEN。 ‘16年3月、地元熊本へ戻り、現在はワインショップQuruto店主。ブドウ栽培・醸造、共に見習い。

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