Takuro Koga

10thコラム:Qurutoのオリジナルワインのこと

〜 Quruto's original wine 〜

2017年7月7日 更新
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先日、熊本県玉名市の農家さんのぶどう畑を訪ねた。 樹齢50年の古木のマスカットベイリーAが植わる区画は、 摘房の真っ最中で、ヴェレゾン前の青いブドウをジャム用に分けてもらった。

ここまでは雨も少なく、順調のようだ。 無事に8月末頃の収穫を迎えて欲しいと祈るばかり。

僕が営むワインショップQurutoでは、 熊本県内の農家さんを数軒選定し、ぶどうを買わせていただき、 熊本ワインさんで委託醸造していただいている。

野生酵母による発酵と、補糖・補酸なし、 最低限の亜硫酸のみで瓶詰めまでできたワインは、 Qurutoのオリジナルワインとして、全国の飲食店さんにのみ販売する。

僕が東京から熊本へ戻る前に、 ワインバーをやめてワインショップに転身すると決めてから、 思い描いていたことは、大きく括ると、


①自然な醸造に適した栽培をする農家さんのぶどうは、単体で小仕込みをしてあげたい
②熊本ワインさんにも、小仕込みや、自然な醸造に興味を持って欲しい
③出来上がったワインは、飲食店でしか飲めないワインとして流通させたい
④熊本にも美味しいワインがあるんだと、もっと産地として注目してもらいたい


という4点だった。 当然、出来上がったワインは一括で全量買い取るというリスクはこちらで背負う。

自分のぶどうだけでワインを仕込んでもらえると農家さんが喜んでくれ、 これまでにない経験が積め、新たなニーズができるなら、 と積極的にワイナリーに協力してもらえ、 飲み手は飲食店へ行く動機ができ、ワクワクしてもらえ、飲食店が賑わい、 それが美味しければSNSなどでジワジワと広がって地元のワインが話題になっていく。。

願わくば、単純に誰かのパイを食う(シェアを奪う)のではなく、 みんなにとって「いいね!」なことを創造するような仕事や、 ゼロをイチにするような仕事がしたいものだ。

これまでにリリースしたオリジナルのワインは、 2015ヴィンテージはPrologue、2016ヴィンテージはEpisodeとそれぞれ名付けた。
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2017ヴェンテージの仕込みから、もしも豊作であればキュヴェ数も増える予定だ。 また数ヶ月後に、ここで良い発表ができるといいなと思っているが、 今はただ、豊作を祈ることしかできない。




2017年7月7日
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Takuro Koga Takuro Koga

‘09年5月、東京・幡ヶ谷でヴァンナチュールと日本ワインを軸にしたワインバーKinasseをOPEN。 ‘16年3月、地元熊本へ戻り、現在はワインショップQuruto店主。ブドウ栽培・醸造、共に見習い。